TUBE Live Around Special 2000

Lani Kai

ナゴヤ球場 野外ライブレポート

開演前 2000年8月12日にナゴヤ球場で開催されたTUBEの野外ライブに行って来た。
今年はTUBE初のハワイライブを6月1日にやったこともあって、国内でのホールツアーが無かった。ハワイに行かなかった俺にとっては丸々1年ぶりのライブである。これはもう気合いが入らない訳がない。この日が来るのをどれだけ待ち望んだことか。その待ちに待ったライブの日がやっと来たのだ。

今年の野外ライブツアータイトルは。アルバムと同名の「Lani Kai」。ちなみにアルバムの方は全部大文字で「LANI KAI」と書かれているのだが、ツアータイトルとして使われているロゴは「Lani Kai」とキャピタリゼーションされている。まぁ、どうでもいいような細かい事なのだが、ひょっとしたら何か意味が込められているのだろうか?

ステージセットは最初見た時はちょっとシンプルな印象を受ける感じのものだった。ステージ中央の奥にかなり大きな白くて丸い物がでんと据えられているのが気になる。よく見るとそれはふわふわと風を受けて微妙に動いているではないか。いったいアレは何なのか?最初は疑問でしょうがなかったが、この後すぐにその疑問は解けることになる。

開演時間を15分ほど過ぎた頃に、ステージセット左右に1つずつ備えつけられた巨大なスクリーンに映像が出た!客席は歓声とともにスタンディング状態になったが、スクリーンに映し出されたのは、某関西系お笑いタレントが「大オッケー!」と言う、ライブスポンサーのコマーシャルであることが判ると客席は笑い声の渦へと変わった。
その後すぐにサポートメンバーたちがステージへと上がって来て、所定の位置へと着く。いよいよスタートだ。ちょっとしっとりした感じのピアノ曲でライブは始まった。
玲二、春ちゃん、カックンの3人はほどなく出て来て所定の位置について演奏を始めるが、前ちゃんだけはなかなか出て来ない。今年はどんな登場の演出があるのかとじらされながらも待っていると・・・。

★真夏へCount Down
ノリの良いイントロとともに1曲目がスタートした。ステージ中央奥にあった白くて丸い物がするすると上に上がっていく。何とそれは巨大なバルーンで、気球をイメージした物だった。バルーンの下には前ちゃんがシートに座った形で吊り下げられている。何本かのロープでバルーンは繋がれており、そのロープをスタッフが操作することによって、ある程度の動きはコントロール出来るようになっているみたいで、カックン側に寄ってみたり、グランド席の頭上まで寄って来たりと、なかなか見ていて楽しいものだった。曲の後半ではステージ上に前ちゃんは降りて来て、カウントダウンをする所では、会場が1つになって「真夏」へとカウントダウンをした。オープニングナンバーにふさわしい勢いのある曲からのスタートで、会場は一気に興奮に包まれた。

★Only You 君と夏の日を
続いてまたもノリノリの曲。俺の大好きな曲のうちの1つで、これは真剣に嬉しかった。自分の好きな曲をライブで演ってもらえる事ほど嬉しい事はない。オープニング曲が今年のアルバムの曲だったので、ライブの構成として前半はアルバム曲を中心にしたものとなるのかと勝手に思っていたのだが、予想を良い方に大きく覆された形となって、俺的には本当に嬉しかった。なりふり構わずに本当にはしゃいで踊り狂ったよ。振り付けがPVのバージョンと違っていたのが少しだけ残念だったけど、俺はPV版の振り付けの方が好きなので、勝手にそっちの振り付けで踊っちゃったよ。

☆[MC]
看板 ここで最初のMC。
ナゴヤ球場は今回で9回目であること。ナゴヤ球場はTUBE以外にはライブでは使われていないこと。来るたびにフェンスや照明が取り外されていって、ナゴヤ球場がシンプルになっていくこと。球場周辺の住民の方々の協力があってライブが成り立っていること。
そしてハワイライブをやったから今年は国内での野外ツアーを考えていなかったのに、ファンからの怒りのメールやハガキがたくさん殺到して、あわてて急遽野外ツアーをやる事にしたことなどを前ちゃんは面白おかしく話してくれた。
ファンからの熱い要望でTUBEが動いてくれたんだって考えると、本当にTUBEっていうバンドはファン思いの良いバンドなんだなぁって改めて感動するとともに、「今年1回くらいは(国内での野外ツアーを)やらなくてもいいだろう」ってあっけらかんと話してしまう前ちゃんにちょっとだけ頭に来たりして。まぁ、どこまでが本気の内容なのかは、冗談めかした話し方だったので真意の程は定かではないけど。

「今年のライブには裏テーマがあります。みんなの思いが1つになった時にこの会場に虹がかかるかもしれません。」などという謎かけみたいなメッセージを残して次の曲が始まった。

★Horizon
★夕方チャンス到来
★壊れかけの My Soul
★Say Hello
この選曲には俺ははっきり言ってびっくりした。嬉し過ぎてびっくりしたのである。いや、俺だけではなくて、きっと誰もが喜んだと思う。特に「夕方チャンス到来」をこのライブで演ってもらえるなんて本当に嬉しかった。どの曲もライブ向けの盛り上がる曲ばかりなんだけど、良い曲が多過ぎて選曲から漏れてしまうのか、なかなか聴けない曲になってしまっているのではないだろうか。
いや、調べてみて判ったのだが、1997年の野外ライブツアー「Bravo」で「夕方チャンス到来」と「壊れかけの My Soul」は演っていたことが判った。まぁ何にしてもライブ向けの超盛り上がる曲だね。

☆[MC]
ラニカイ スポーツタオル 部屋を整理していたら「さらば宇宙戦艦ヤマト」というアニメのビデオが出て来て、捨てようかと思ったんだけどもったいないからそれを捨てる前にもう1回見てみようって言うことで見てみたんですよ。そしたらもういい歳をした大人なのにもうボロボロと泣けて来ちゃって、これは本当にいい作品なんですよ。大人になってから見るアニメって言うのはまた違うんですよね、と前ちゃんのMC。
あまりにも良かったんで、春ちゃんにもこのビデオを見ることを薦めて、そんで出来た曲が「恋愛旅団」です。

★恋愛旅団
★夏を抱きしめて(TUBEst3 アコースティックバージョン)
★紫陽花
センターステージに出て来て、バラード作品をじっくりと聴かせてくれた。
野外ライブはお祭りというイメージが強く、大騒ぎして盛り上がれるのが楽しいんだけど、TUBEのライブはそれだけじゃない。やっぱりいい歌を生でじっくりと聴けるこのバラードコーナーというのは本当の見せ場だと思う。
玲二のドラムセットは新兵器と言っていたが、誰にでも叩けるというシンセドラムのセットを使っていた。誰にでも叩けると言いながら、前ちゃんは叩いてみるもうまく音を出せずに笑ってごまかしていたのがご愛敬。

★虹になりたい
★世界で君だけが・・・
「世界で君だけが・・・」の後半の聴かせどころでは、野外ライブ恒例の大きな噴水のような水のシャワーを浴びて前ちゃんの熱唱。
スタッフの苦労があってのことだと思うが、非常に粒の細かくて高く上がるこの噴水は、ライトを浴びてきれいな水のカーテンのようで、幻想的なものであった。

☆[リンダコーナー]
リンダは今年は手品を披露してくれた。生きた鳩を取りだして飛ばしてみたり、客席から1人を呼び出してステージにあげてトランプのカードを引かせて、それを当ててみたりと、なかなか本当のマジシャンっぽい凝った出し物だった。途中でわざと失敗してみせたりする笑いどころも用意してたりして、なかなかサービス精神満点である。
後半、ステージ中央にどこかで見たような大きなセットを組み上げている。板切れのようなパーツを1枚ずつスタッフが組み上げていって出来たそれは・・・ハワイライブのオープニングで前ちゃんがカメハメハ大王に扮して登場した、火山のセットだ。
火山のセットを組み上げて、そこから何かを登場させようという演出らしい。
そして、火山が割れて出て来たのは・・・ギターを持った春ちゃんだった。このまま春ソロコーナーに突入。

☆[春ソロコーナー]
春ちゃんの弾くギターは聴く人の心を魅了する何かがある。ボーカルの無い曲なのに、ギターそのものがまるで歌っているかのような独特の雰囲気と強い存在感がある。

★ガラスのメモリーズ(TUBEst3 新録バージョン)
オリジナルのバージョンよりもだいぶリズムラインが強調されたイメージの新録バージョンで演奏してくれた。体中にダッスンダッスンと響くバスドラムとベースの迫力がいかにもライブ!って感じでいい感じ。これだけの迫力のあるサウンドを耳だけではなく体全体で聴くことができるのはやはりライブならではの醍醐味。

★シーズン・イン・ザ・サン
会場中が一気にヒートアップ!名曲中の名曲。この曲をライブで聴けると本当に幸せな気分になれるね。楽しそうに歌う前ちゃんの表情が印象的だった。あと特筆すべきは生のブラスセクション。サックスがこんなにかっこいいと思ったことは今まで無かった。
「夏よ逃げないでくれ」一緒に歌いながら、このままずっと楽しい時間が続いたらどんなに良いだろうって考えたら、ちょっと切なくなっちゃったりして。

☆[MC]
ノッてるかい?
盛り上がってるかい?
ラニかい?(笑)
ニューアルバム「LANI KAI」から、ドバドバドバーっと行きまっせーーっ!!

★What's Love? 君は知らない
★僕が僕であるために
★Treasure Island
★Half Moon
ラニカイTシャツ 俺が個人的に今回のアルバムの中でいちばんのお気に入りだと感じている「Treasure Island」を生で聴けて感激した。この曲ってちょっとメロディアスで、しかも歌詞の内容は切ない感じなのに、ベースを中心としたリズム体はチョッパーを多用した跳ねている感じの雰囲気があったりして、なかなかの贅沢な感じだと思う。まぁライブ中は盛り上がりまくっているのでそんなに冷静に音を聴けてなかったりするんだけど、好きな曲はライブでは盛り上がれるよね。
あと「Half Moon」では、ステージセット左右に1つずつ設置されているスクリーンに、名古屋の上空に輝く本当のお月様を映し出したりしてた演出もにくいと思ったよ。
この4曲は歌詞の内容からいってもちょっとおセンチなイメージだよね。俺はライブの雰囲気に圧倒されて興奮していたので、詞の内容までじっくり味わって聴けなかったのが残念。じっくり聴きたい時は部屋でCDを聴けばいいんだろうけど、ライブでじっくり聴ける空間というのも欲しいような気がする・・・のは贅沢な考えだろうか。

★傷だらけのhero
カラオケで歌うと盛り上がる曲(笑)。途中の「♪カッコよく〜」と「♪転んでも〜」の後の「Heyっ!」っていう掛け声の所が好きで、頑張って1人でやっていたんだけど、周りの人はやっている人を見かけなかった。みんなそれどころじゃなかったのかな?
この曲で本編は終了。
「みんなありがとー」と前ちゃん。メンバーがステージから一旦下がるも、会場の熱気は凄まじいものがあった。TUBEコールの声援がいきなり始まるかと思えば、スタンド席では繰り返して何回もウェーブが巻き起こっていた。グランド席の中ほどにいた俺は
ウェーブをやりたくてウズウズしていたが、スタンド席に遅れること数分(俺にはとても長い時間のように感じられた)グランド席でもウェーブが始まった。
そしてジェット風船を膨らましつつ、アンコールをおねだり・・・。

☆[アンコール]
★LANI KAI
フュージョン系の爽やかなノリのアルバムタイトル曲でアンコールが始まった。色とりどりに一斉に大空に飛び交うジェット風船が綺麗だった。まさしく「天国の海」っていう感じ。

★真っ黒K3
ダンサーズの振り付けを期待していた曲の1つだったが、俺の予想を激しく上まわる過激な振り付けだった。ダンサーズだけじゃなくて、メンバーも歌いながら、そして演奏しながらの振り付け、そしてスクリーンにはあらかじめ撮ってあった「海パン一丁」でコミカルな振り付けで踊るメンバーの姿が映し出された。これには大爆笑。気持ち良さそうに踊っているステージ上のメンバーとは裏腹に、客席のみんなは初めての難しい振り付けに、ちょっとばかし戸惑いぎみだったように感じられた。これを完璧に覚えることが出来たらオフ会で盛り上がれること間違い無し。振り付けビデオの発売を望む(笑)

★花火
激しく盛り上がったまま、さらに激しい曲へ突入。もう踊りまくることに夢中で、誰も冷静に曲だけに聴きいっている人なんていなかったように思う。体を動かすことの気持ちよさイコール、ライブ参加の楽しさっていう基本をあらためて感じさせられたように思う。フィナーレで打ち上がった花火が綺麗だった。期待を裏切らないTUBEのライブの演出に酔いしれた。

☆[ダブルアンコール]
★Truth of Time
さらにアンコールをおねだりしてダブルアンコールへと突入。野外ライブではダブルアンコールまでが当然の様になっているが、やはり出て来てもらえると嬉しいものだ。
独特のリズムで始まる長いイントロに続いてメンバーが出て来た。またもや飛び交う色とりどりのジェット風船。
この曲は聴いていて気持ちの良い曲。ラテン系のノリなのにちょっとゆったりした感じで、前ちゃんの歌唱力の凄さをあらためて実感させられた。
途中の間奏部分でのハンドクラップの部分は、練習の甲斐もあってバッチリきめることが出来て気持ちよかった。

★恋してムーチョ
ダンサーズとともに踊りまくって盛り上がる曲。「♪ラララ〜」の所は前ちゃんが「みんな一緒に!」、「もっともっと!」と言ってくれて盛り上げてくれた。言われるまでもなく会場は動きだけでなく、心も激しく1つになっていたと思う。俺はグランド席のちょうど真ん中くらいの席だったのだが、ふと気になって後ろの方を振り返ってみると、グランド席もスタンド席も関係なく、全員が同じ動きで振り付けして盛り上がっている光景が目に入って圧倒された。何回もTUBEのライブに参加している人がほとんどなんだろうけど、誰もが知っている曲ってみんなで盛り上がれて良いよね。以前に何かのインタビューで玲二が野外ライブの魅力について聞かれた時に「会場に動きが感じられるのが良い」ってコメントしていたけど、まさしくこの時の状態のことだと実感した。

★あー夏休み
ツアートラック 実は俺的には「恋してムーチョ」で終わりかと思っていたのだが、その盛り上がった勢いのまま次の曲のイントロが始まってびっくり。誰もが知っているこの特徴のあるイントロで始まる曲は!そう「あー夏休み」である。イントロが始まった後、メンバーがメインステージからセンターステージへ向かってダッシュ!ここで大きな大きな水柱が爆音とともに炸裂した。
降り注ぐ水の中を駈け抜けてきた前ちゃんは、してやったりと言うような楽しげな表情で歌っている。これだけ激しく動きながらも、ずっと歌い続けていても、パワーがまったく衰えない所がすごい。これだけバイタリティにあふれたボーカリストは他にいないのではないだろうか。
サビの「あー夏休み」とみんなが一緒に歌う所では、1度だけ演奏が全て止まって、前ちゃんがマイクを降ろして手を耳にあてて、会場の雰囲気を楽しんでいた。会場の全員がアカペラで叫んだこの一瞬は鳥肌が立つほど凄いものだった。アンプを通した音は1つも無いのに、音圧はそれまでのものとほとんど変わらなかったのである。この瞬間を一緒に参加出来たことは俺の記憶の中にずっと残るであろうと思われる、印象に残る一瞬であった。前ちゃんの満足そうな表情が忘れられない。ライブでしか味わえない喜びの演出、参加することの喜び、観客全員が一緒にこのステージを作っているんだって実感出来た一瞬だったと思う。

☆[MC]
燃えつきたような満足感でいっぱいの中、前ちゃんのMC。
サポートメンバーのカツオや伊藤リンダ一義を紹介しながら、「もはや彼ら(サポートメンバー)を含めた全員がTUBEです。」
15年間バンドをやって来て、人生の半分以上を、親や自分の家族よりも長い時間、このメンバーとともに一緒に過ごして来ました。
言い争いやケンカをしたこともありました。
そして、時には間違いをおこした夜も・・・(笑)

冬の雪が降りしきる寒い日でも、「私はTUBEファンだ」とファンのみんなが胸を張って言えるような、そんな風にしていきたい。

★OVER the TEARS
アコースティックな雰囲気のこの曲でライブは締めくくられた。

☆[MC]
最後は恒例のマイクを使わない肉声で、みんな本当に今日はどうも「ありがとうー!」
☆KEEP ON SAILIN'(インストゥルメンタル)
スクリーンには「今日は本当に楽しかったよ TUBE」

祭りが終わってしまった後というのは、何となく寂しさが付きまといがちだが、TUBEのライブの後というのはいつも、「ライブに参加出来て本当に良かった」、「また来年も絶対来よう」という熱い気持ちで満たされるのが嬉しい。






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